外資系IT企業での年収について、一般的に知られている情報だけでなく、実際に働いた人しか知らない情報も含め、詳しく解説します。外資系IT企業で働くことで得られる年収やキャリアアップの方法について知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
外資系IT企業に転職すると年収はどれくらい貰えるのか?
外資系IT企業に転職することで、年収アップを狙う人が増えています。一般的に、外資系IT企業は日系企業と比べて年収が高いと言われていますが、具体的にどのくらいの年収が期待できるのでしょうか?この記事では、外資系IT企業で働くエンジニアの年収事情について解説します。
前職の給与がベースとなる
一般的に、外資系IT企業の転職時の給与は、前職の給与をベースにして約10~30%程度増額されることが多いです。例えば、年収が600万円だった場合、700~800万円、800万円だった場合は900~1000万円程度が一般的です。600万円から1000万円になるというケースは稀だと考えた方が良いでしょう。
給与に個人差が大きい
同じ年齢でも前職の給与によって個人差が生じるため、30歳でも給与が700万円の人や1000万円の人がいます。同じポジションで同等の実力を持つ人でも、外から入ってきた人が自分を追い抜いてしまうこともあります。
外資系IT企業によって若干差がある
一般的に、外資系IT企業は日系企業に比べて年収が高めですが、外資系IT企業でも差があります。伝統的な外資系IT企業は、年収が比較的抑えられている傾向がある一方、新しく日本に参入した企業は、優秀な人材を集めるために年収を高めに設定することがあります。
外資系IT企業の平均年収
外資系IT企業の平均年収はどの程度なのでしょうか?この情報を知ることで、転職による年収アップの目安をつかむことができます。OpenWorkが公開している情報をもとに、代表的な外資系IT企業の年収をまとめました。ただし、これらはあくまでも社員の報告に基づくものであり、参考程度に留めておくことが重要です。以下に代表的な外資系IT企業の年収を示します。
平均年収 (万円) | 回答者の年収レンジ (万円) | |
グーグル(Google) | 1871 | 1500 – 2400 |
ネットアップ(NetApp) | 1167 | 1000 – 1300 |
セールスフォース・ジャパン(Salesforce) | 1152 | 400 – 2500 |
シスコシステムズ(Cisco) | 1160 | 560 – 2160 |
デル・テクノロジーズ(DELL) | 996 | 400 – 1500 |
日本マイクロソフト(Mirosoft) | 986 | 500 – 1900 |
アマゾンウェブサービス(AWS) | 986 | 600 – 1700 |
〃 アーキテクト職 | 1489 | 1100 – 1950 |
ヴイエムウェア(VMware) | 983 | 550 – 1800 |
日本アイ・ビー・エム(IBM) | 853 | 240 – 2800 |
日本オラクル(Oracle) | 786 | 500 – 1280 |
外資系IT企業におけるエンジニアの報酬制度
その報酬は企業によって異なり、年俸制、コミッション制、ボーナス制、RSUなど、様々な制度があります。この記事では、外資系IT企業におけるエンジニアの報酬制度について解説します。
企業によって報酬制度が異なる
外資系IT企業は、年俸制度を採用しており、企業によってはボーナスやRSU(譲渡制限付株式報酬)を付与している場合もあります。報酬については、基本的に以下のパターンが存在します。転職エージェントやOpenWorkなどからその企業の報酬制度について確認することができるでしょう。
報酬制度
- ベース給与
- ベース給与+ボーナス
- ベース給与+ボーナス+RSU
外資系IT企業は年俸制で、ベース給与だけの場合や、ボーナスやRSU(譲渡制限付株式報酬)を付与している会社があります。ベース給与が低く設定される営業系のプリセールス職は、営業成績に応じて支払われるコミッション制度となることが多いです。 例えば、ベース給与 => ベース給与(80%) +コミッション(20%: 目標達成に応じて上下する)といった具合です。
企業やポジションによってボーナスは様々で、年収の0~30%の差がつくケースもあります。最近はRSUを付与している会社も増えてきました。RSUは自社株式で、給与と同等の位置づけと考えることができます。入社時にベース給与の半分相当のRSUを4年に分けて付与されるケースもあり、個人の成績や会社の状況によって追加でもらえることがあるため、年収が加速度的に増える可能性があります。ベース給与+ボーナス(平均%)+RSUを全部含めて、トータルで年収を考えると良いと思います。
ポジションによる年収について
多くの外資系IT企業では、ジョブグレード制度を採用しており、役割や等級に応じてベース給与やボーナスが決まります。Mercer Japanでジョブグレードに関する情報を公開しています。私が経験してきたすべての会社では類似した仕組みを取っていました。
ポジションや企業によって異なりますが、私の経験に基づくと年齢とベース給与は、概ね以下の通りです。外資系IT企業によって、ボーナス、RSUの有無によって、大きな年収差が生まれることがあります。
年収イメージ
- Specialist (P4):40代、ベース給与 1000-1500万
- Senior (P3):30代・40代、ベース給与 800-1200万
- Experienced (P2) :20代、ベース給与 600-800万
- Entry (P1) : 新卒、ベース給与 400-600万
福利厚生のメリットもばかにならない
外資系IT企業は、社食や社宅などの福利厚生が日系企業と比べて劣ると言われていますが、最近は福利厚生が充実している企業も多くなっています。年収にプラス100万円以上の価値があることもあります。以下に、外資系IT企業の福利厚生例を示します。日系企業と比較してみてください。
福利厚生の一例
- 401K(確定拠出年金):退職金の代わりに会社が年金を負担してくる仕組みです。
- ESPP(従業員株式購入プラン):割引価格で自社株を購入できる仕組みです。
- 残業代:多くの外資系IT企業では、みなし残業代制度のため年収の一部に含まれていますが、超えた場合に支払われます。
- 福利厚生補助:健康保険組合や外部の福利厚生サービスを使って安価で施設や旅行に行ける仕組みです。
- 研修費用:年間10万など、外部研修への参加を会社が負担してくれる仕組みです。
- 社宅(借り上げ制度):給与から賃貸費用が差し引く仕組みです。所得税が少なくなる恩恵があります。
- 食事代:会社が食事代を負担する仕組みです(一定の条件で)。
- 飲料:オフィスにて無償のコーヒー、ジュース、水などを提供。
転職後の年収アップ
転職後も、以下のような機会があるため、年収アップが見込めます。企業やポジションによって、年収の上がり幅や上がりやすさは異なりますが、外資系IT企業では定期的な昇給が行われているところが多い印象です。また、他の外資系IT企業への転職も年収アップのチャンスとなり得ます。全体的に、日系企業と比べて年収アップのペースが速いことが多いと言えるでしょう。
年収アップ
- 昇格して年収アップ
- 高評価を得て年収アップ
- 定期昇給
年収の確認方法
転職しようとする外資系IT企業の年収や福利厚生について、どうやって事前に確認すればよいでしょうか。入社前に、転職エージェントやその外資系IT企業の人事に聞くと良いでしょう。採用マネージャとの面接では、金額については確認してはいけません。その会社からオファーが出そうなときは、ある程度金額交渉は可能です。しかし、あまりにガツガツしてしつこいと、嫌がられて採用取り消しになることがあります。
まとめ
この記事では以下のことについて説明しました。
ポイント
- 外資系IT企業に転職すると、前職の給与がベースとなり、約10-30%程度の年収アップが見込める。
- 外資系IT企業によって平均年収や報酬制度に違いがある。ベース給与、ボーナス、RSUを合わせてトータルの年収を考えると良い。福利厚生も無視できないほどのメリットがある。
- 転職後は、実力で年収アップを実現するのが基本だが、定期昇給している外資系IT企業もある。さらに転職して年収アップするのも手。
私のこれまで経験をもとに記事を書きました。外資系IT企業に年収事情について理解いただけましたでしょうか。これで、皆さまが少しでも外資系IT企業への転職の参考になればとても嬉しいです。
他にも記事をいろいろ書いていきますので、参考にしてみてください。
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